このストーリーはAIで作成されており、フィクションです。
第13本目:「ノートの中の手紙」
起:見知らぬ書き込み
高校2年生の篠田葉月は、授業中にノートを取ることが好きだった。几帳面に整理された文字や図は、彼女自身の性格を表していた。ある日の授業中、葉月がいつものようにノートを開くと、そこには奇妙な書き込みがあった。
「数学は面白いと思う?」
文字は鉛筆で書かれており、葉月の書いたものではなかった。周囲を見回しても、誰が書いたのかは分からない。最初はただのいたずらだと思い、特に気にせず授業を続けた。
しかし、その翌日もノートには新たな書き込みがあった。
「もし暇だったら、君が好きな教科も教えて。」
葉月は戸惑いながらも、そのメッセージに少し興味を持ち始めた。そして、思い切って鉛筆で答えを書き込んだ。
「歴史が好きです。数学はちょっと苦手。」
承:ノート越しの会話
それからというもの、葉月のノートには毎日のように誰かのメッセージが書き込まれるようになった。誰かが自分のノートに書いているはずだが、筆跡も周囲の誰のものか分からない。だが、その「謎の相手」とのやり取りは、葉月にとって楽しみの一つになっていった。
「歴史が好きなんて珍しいね。どの時代が好き?」
「戦国時代かな。人物の個性が面白いから。」
「戦国武将で誰が好き?」
「真田幸村かな。」
そんなやり取りを続けるうちに、葉月は少しずつ心が軽くなるのを感じた。クラスではあまり目立たず、友達も少なかった彼女にとって、このノートの中の会話が自分を救ってくれるような存在になっていった。
転:書き込みの中断
ところが、ある日を境にノートへの書き込みが途絶えた。毎日楽しみにしていたメッセージがなくなり、葉月は少し寂しさを感じた。
「もしかして、相手が誰かバレるのを恐れたのかな?」
「それとも、ただ飽きちゃったのかな?」
授業中も、周囲の生徒たちを気にするようになり、「誰が書いていたんだろう?」という疑問ばかりが頭を巡った。
そんな中、クラスで同じ席近くの男子、山崎拓海が突然葉月に話しかけてきた。
「篠田さん、最近なんか元気ないけど、大丈夫?」
「えっ……?別に、なんでもないけど……。」
葉月は戸惑いながらも、拓海の言葉に何か特別な意味があるように思えた。
結:正体と新しい関係
それから数日後、葉月が再びノートを開くと、久しぶりに書き込みがあった。
「ごめん、ちょっと忙しくて返事できなかった。拓海です。」
その瞬間、葉月は心臓が跳ね上がるような感覚を覚えた。毎日メッセージを書いていた相手が、自分のクラスメイトである山崎拓海だったことに驚いたのだ。
放課後、葉月は意を決して拓海に話しかけた。「ノートに書いてたの……山崎くんだったんだね?」
拓海は少し照れくさそうに笑いながら、「うん。篠田さんがいつも楽しそうにノート取ってるのが面白くて、つい書いちゃった。迷惑だった?」と答えた。
「迷惑なんかじゃないよ……むしろ、すごく嬉しかった。」
葉月の言葉に、拓海も少し安心したようだった。
それ以来、二人は少しずつ距離を縮めていき、放課後に一緒に勉強することも増えた。ノートを通じた会話は終わったが、葉月にとって拓海との時間は、ノート以上にかけがえのないものになっていった。
ー完ー