このストーリーはAIで作成されており、フィクションです。
第36本目:「夜の図書館」
起:誰もいない静寂
高校3年生の高瀬悠斗は、学校で最も好きな場所が図書館だった。昼休みや放課後に本を読むのが日課だったが、受験勉強が本格化した頃から、図書館は勉強場所としても欠かせない存在になっていた。
ある冬の夕方、図書館で問題集を広げていた悠斗は、閉館時間のアナウンスを聞き、慌てて片付けを始めた。ふと窓の外を見ると、薄暗い校庭にちらほらと雪が降り始めているのが見えた。
「今日は寒いな……」そう呟いて席を立ったとき、隣の机に座っていた同級生の倉本咲が声をかけてきた。
「高瀬くん、今日も遅くまで頑張ってるんだね。」
咲は同じクラスで進学校を目指していることもあり、図書館で顔を合わせることが多かった。ただ、会話を交わすのはこれが初めてだった。
承:延長の提案
「倉本さんも、よくここにいるよね。」と返した悠斗に、咲は「図書館、静かで集中できるから」と微笑んだ。
その日の帰り際、咲が何気なく言った。「図書館がもっと遅くまで使えたらいいのにね。」
その言葉に、悠斗は思い立った。次の日、図書館の司書の先生に「閉館時間を少し延ばしてもらえませんか?」と頼んでみると、先生は「自主的に管理するなら考えてもいい」と条件付きで許可をくれた。
それを咲に話すと、「本当に?じゃあ、私も手伝う!」と喜んでくれた。こうして、図書館の閉館時間を1時間延長する「夜の自習室プロジェクト」が始まった。
転:図書館での時間
プロジェクトが始まってから、悠斗と咲は毎晩図書館に集まり、勉強するようになった。二人で延長時間中の管理をしながら、それぞれの勉強に集中する日々が続いた。
ある日、咲がふと「ねえ、高瀬くんは、なんでそんなに頑張ってるの?」と尋ねた。
悠斗は少し考えてから、「特に理由はないけど……大学に行って、今の生活を変えたいと思ってるだけかな。」と答えた。
咲は頷きながら、「私も似てる。親に期待されてるし、なんとなく流されて頑張ってる感じ。でも、ここで勉強するのは嫌じゃないな。」と話した。
二人の間には自然と心地よい空気が流れ、図書館の静けさが、いつしかただの「無音」ではなく、「安心感」に変わっていった。
結:夜が明ける前に
冬が過ぎ、受験の日が近づく頃、咲が突然こう言った。
「ねえ、高瀬くん。受験が終わったら、この図書館で最後に一緒に何かやらない?」
「何かって?」と悠斗が尋ねると、咲は「まだ考え中。でも、せっかくだから、この図書館での思い出を何か形に残したいな」と笑った。
受験後のある日、二人は図書館に集まり、机に向かう代わりに本棚を整理したり、好きな本を貸し出しカードに記録したりして過ごした。そして最後に、咲が持ってきた一枚の紙に、二人で「夜の図書館」の日々について短いメッセージを書き込んだ。
「この場所で、未来を見つけた。」
その紙は、司書の先生にお願いして図書館の記録として残してもらった。夜の図書館で過ごした日々は、二人にとってただの勉強場所以上の意味を持つ「特別な時間」になっていた。
春の訪れとともに、二人はそれぞれの進路へと歩み出したが、図書館で見つけた「静かな絆」はこれからも消えることはなかった。
ー完ー