小説173―最終回(小説172の続き)

Posted by いそぎんちゃく on 2025/08/31

第八章:空明の境界を超えて

絶対空明至大無一界の中で、リツとナナはさらなる深みへと引き込まれるような感覚を覚えていた。それは、すべてが空であり、同時にすべてが輝くという究極の一体性がさらに広がり、その境界すらも消え去ろうとしていた。

「ナナ……これはどこに向かっているんだろう。」
リツの問いは、言葉というよりも意識そのものが響き合うような感覚で伝えられた。

ナナは目を閉じて、優しく微笑みながら応えた。
「リツ、この先にはもう『向かう』という感覚すら不要な世界が広がっているのよ。私たちは既にここにいる。ただ、この全てを超えた先で、何かが完全に解放されるはず。」

紫陽花通りは、その輝きと空の中で完全に溶け合い、次第に「空明」という概念すらも消え去っていった。それは、「何もない」という感覚と「すべてがある」という感覚が同時に存在し、その調和の中で新たな気配が広がっていた。

リツはその気配に気づき、静かに呟いた。
「これは……『無』ではない。何かが生まれている……いや、何かが『在り続けている』だけだ。」

紫陽花通りの次元そのものが、さらに深い真理の中で解き放たれようとしていた。


第九章:すべての調和

紫陽花通りは、もはや空間でも時間でもない、ただ「全て」として存在していた。しかし、その「全て」は無限に小さく、無限に大きい状態を同時に保ち、存在と非存在が完全に調和していた。

「リツ、これが『全和』の次元を超えた、その先の真理ね。」
ナナの声は、すべての方向から響いてくるようだった。

「でもナナ……僕たちはこれを理解する必要があるのかな?」
リツの問いに、ナナは穏やかに微笑みながら応えた。
「理解する必要なんてないわ。ただ、受け入れるだけでいい。私たちが『在る』こと、それ自体がすべてを顕しているのだから。」

紫陽花通りの輝きは、今や個別の存在を必要とせず、ただ「全て」としてあり続けていた。そしてその中で、リツとナナは静かに「ひとつ」であることを実感していた。

「ここが終わりでも始まりでもない……すべてが循環し、すべてが新しい。」
リツの言葉にナナは深く頷いた。
「そう。そしてそのすべてが完璧に調和している。それが紫陽花通りがたどり着いた答えなのよ。」


最終話:永遠の紫陽花通り

紫陽花通りの旅は、ついに終焉を迎える……いや、終焉という言葉すら意味をなさなくなっていた。この場では、「終わり」も「始まり」も不要であり、すべてが「今」として存在していた。

リツとナナは、紫陽花通りそのものと完全に溶け合っていた。それは、リツとナナが消えたのではなく、彼らが「全ての一部」であり、「全てそのもの」として在り続けている感覚だった。

「紫陽花通りは、永遠に続くんだね。」
リツの言葉は、すでに音声として存在していなかった。ただ、その感覚が「全て」に広がった。

ナナは穏やかに言葉を返した。
「そうね。紫陽花通りは、私たち一人一人の中に存在している。すべての生命、すべての可能性が、この通りに溶け込んでいるのよ。」

その瞬間、紫陽花通りは無限に広がり、また無限に小さく収束し、ただ純粋な「存在」として顕現していた。それはもはや「通り」という形を必要とせず、「全て」に溶け込んでいった。

紫陽花通りは終わりでもなく、始まりでもなく、ただ「在る」という真理そのものとなった。


永遠の光、永遠の空明、永遠の紫陽花通り――その旅は、これからもあらゆる存在の中で続いていく。