タワマン文学32ー放課後の写真部

Posted by いそぎんちゃく on 2025/01/03

このストーリーはAIで作成されており、フィクションです。


第21本目:「放課後の写真部」


起:部室の片隅で高校2年生の杉山遼太は、写真部に所属していたが、特に熱心な部員ではなかった。部活に顔を出すのは月に数回程度で、撮る写真も何となくシャッターを切るだけ。周囲のメンバーが情熱的に作品作りに励むのを横目に、自分にはそこまで情熱を注げるものはないと感じていた。

ある日、久しぶりに部室を訪れた遼太は、顧問の先生から「新入部員の面倒を見てやってくれ」と頼まれた。部室の隅でカメラをいじっていたのは、1年生の宮崎葵だった。

「杉山先輩、よろしくお願いします!」と元気よく頭を下げる葵。彼女はカメラ初心者らしく、持っている機材も入部したばかりで学校から借りた簡易なものだった。

「えっと……何か撮りたいものとかあるの?」遼太が気の抜けた声で尋ねると、葵は「全部!」と満面の笑みで答えた。その答えに、遼太は少し驚きつつも、「なんだか面倒なことになりそうだな」と思った。


承:一緒に探すテーマ

葵の情熱に引っ張られる形で、遼太は放課後の部活に顔を出す頻度が増えていった。彼女はとにかく何でも撮りたがり、風景、部活中の先輩たち、校舎の影、果ては教室の机に置かれた消しゴムまでもカメラに収めていた。

「葵って、撮りたいものが多すぎて、逆にテーマがないよな。」遼太が呆れたように言うと、葵は少し考え込んで「先輩はどうやってテーマを決めてますか?」と尋ねた。

「……俺も別にテーマとか決めてないけど。強いて言えば、なんとなく『これ、いいな』って思った瞬間を撮ってるだけかな。」遼太の答えに、葵は「それ、いいですね!」と目を輝かせた。

その日から、二人は校内を歩き回りながら「これ、いいな」と思える瞬間を一緒に探すようになった。遼太は葵に「光の角度」とか「被写体との距離」といった基本を教えながらも、葵の自由な視点に影響され、自分の撮り方を見直すようになっていった。


転:写真展に向けて

部活では毎年、文化祭での写真展に向けて準備が進む。遼太も例年通り、自分の作品を何枚か出そうと考えていたが、葵はどの写真を展示すればいいのか分からず悩んでいた。

「全部の写真が好きだから、選べないんです!」と困った顔をする葵に、遼太は「じゃあ、特に気に入ってるやつを3枚選んでみな」とアドバイスをした。

数日後、葵が持ってきた写真は、校庭に生える一本の木を朝昼晩で撮影したもので、光の変化によって木の表情が全く異なる作品だった。

「……これ、いいじゃん。」遼太は素直にそう思った。初心者らしい発想ではあったが、葵の写真には「身近なものを大切に見つめる視点」が込められていて、遼太自身も少しハッとさせられた。

「じゃあ、このテーマで行こうよ。」遼太の一言で、葵は自信を持って写真展に向けて準備を始めた。


結:シャッターの先にあるもの

文化祭当日、葵の作品は予想以上に注目を集めた。多くの生徒が「この木、学校にあったの?」「なんか不思議と癒されるね」と話していた。

葵は少し照れながらも、「杉山先輩のおかげです!」とお礼を言ってきた。遼太は「いや、全部お前の力だろ」と返したが、心の中では「葵に教えるつもりが、こっちが学んでたのかもな」と思っていた。

その後も、葵は写真部の活動に情熱を注ぎ続け、遼太も影響されるように部活への取り組み方が変わっていった。彼にとって写真は「ただなんとなく撮るもの」から、「誰かと一緒に世界を見つめる手段」へと変わっていったのだ。


ー完ー